松山―今治―大島


夜行バスで松山駅に降り立つ。バスに自転車を載せるのは2回目だが、今回は結構苦戦した。最終的には自転車の部品だと押し切って載せてもらった。
レトロな雰囲気の路面電車と併走しながら道後温泉へ向かう。



屋根の折り重なった湯屋のシステムがなかなか面白い。まず2Fに上がり畳の広間に座る場所を用意されて浴衣を渡される。浴衣をもって下の階に下りて風呂に入り、浴衣姿で畳の間に戻るとそこでお茶やお菓子が出てくる。浴衣姿で縁側に立つと勿論外にいる観光客からは丸見えなのだが、舞台の上にいるような気分と、浴衣で街中にいる温泉街独特の空気がとても楽しい。



いくつか建築をめぐって松山城から街を見下ろした後は一路今治へ。首都近郊とは違って街の終わりが割とはっきりしていて、ところどころ集落や工場地帯が出てくる。途中瓦工場がずらっと並ぶエリアがあって、瀬戸内海の風景に瓦屋根が多い理由を垣間見る。



生産と食が結びついているが非常に価値があるのと同じで、生産と風景が結びついているのを見られるのは、非常に価値がある。こういう接続は現代社会においては稀なことだけれど、こういう透明化というのは、おそらくこれからの社会にとって重要になってくる。建築家が第三者の視点として機能して、こういう透明化に一役買えるようになるというのは大事なこと。傾向は良い方向に変わりつつあるけれど、公共工事の設計も、地元の設計者による入札のような制度ではなくて、第三者を交えたプロポやコンペとすることの意味は大きい。



今治市の造船場エリアを抜け、なんとか本州四国連絡橋に乗る。自転車レーンをぐるっと旋回しながら橋の上にあがるとものすごい高さ。空を飛ぶように大島へ渡る。走行距離約100キロ。

坂の上の雲ミュージアム/安藤忠雄

松山城のふもと、少し高台に建つ。司馬遼太郎坂の上の雲をフィーチャーした美術館。安藤さんらしくないガラスカーテンウォールだが、周辺の緑をよくとりこんで、とても気持ちいい。三角形平面に潟博物館のような螺旋状の動線が収まっている。ぐるぐると登っていく楽しさ。