ソラリス/スティーブン・ソダーバーグ

ソラリス 特別編 (初回限定版) [DVD]
タルコフスキーのロシア版をみたかったのだが、賛否両論のリメイク版を見ることに。

自分自身のことを客観的にAと呼んだときに、この世界には少なくとも二人のAがいる。それは自己としてのAと他者としてのAだ。正確に言うと他者の数だけAは存在するのかも知れない。どちらかといえば僕もそういう人間であって、自己としての自分と他者からみた自分とのギャップの中に僕らは常に生きている。そしてきっとそんな中でも自己としての自分を他者にも共有してもらいたいからこそ、僕らは恋愛をするのだと思う。
僕にとって恋愛ができなくなった最大の原因とは、僕が他者の間に広がっていく自分のギャップの中に、自己を見失ってしまったからなのかもしれない。
とこの映画を見て気づいた。
惑星ソラリスでは他者の記憶としての個人が誕生する。記憶の持ち主は生み出されたその個人をこよなく愛し、生み出された個人は自分の中に自己がないことに苦しみすれ違う。これほど救いのない悲しみに満ちたハッピーエンドを今まで見たことがない。