鼻からにんにくの匂い

精神的な安堵と落胆が相まって突然襲われた発熱のすごさに耐えられず近くの診療所に実地調査も兼ねて駆け込む。
言ってみるとわざわざ探し当てたような場末の診療所で、ドアを開けても他に患者がおらず余った診察室では犬がすやすやと気持ちよさそうに眠っている。
待つこともなく奥の診察室に通されると駆け込みの犯罪者も気前よく治療してくれそうな恰幅のいいおじさんが出てきてAVで浣腸とかに使いそうなぶっとい注射器で横になっている僕に延々としかしとりとめもなく話しかけながら栄養剤を左腕に押し込んでいく。
病院とはベルトコンベアに乗せられた商品のように扱われるところだと感じていた僕としては発見的に楽しい時間だった。