ルナシー/ヤン・シュバンクマイエル

crz_joe2006-11-19

チェコの鬼才。アニメーション作家シュバンクマイエルの新作。
日曜の午後にこれを1人で見に来るなんて僕かクラウザーさんくらいのものだろうと思って来てみると案の定かなり空いていた。
冒頭シュバンクマイエル本人が登場し、アイロニーたっぷりにこのホラー映画について解説をしてくれるが、あくまでシュルレアリスムをテーマとしている姿勢は変わらない。
自由とは何かをテーマとし、正常と狂気の間にある非常に対極的な2つの状態を見せるとき、僕らはこの社会がものすごいバランスの上に成り立っていることを知る。
描かれているそのバランスを失った社会において恐怖とは未知のことであると語られる世界は、実際に相当怖い。
シュバンクマイエルは対極的な2つの状態の短所を取り出したモノが現代社会だと皮肉るが、自由を表現するには不自由をも規定する必要があるのが現代なのかもしれない。