夢の住人(新企画)

家に帰ると郵便が届いていて、僕宛の郵便なのにそれは何故か開けられていた。白い型紙でできた国際便に使われているような封筒だった。差出人の名前はなかった。開封用のミシン目にそって開けられた中には婚姻届が入っていて、何故か僕の名前のところだけ他人の筆跡で署名と捺印があった。僕は咄嗟に説明が面倒くさいなと、これがすでに誰かの目に触れていることについて考えた。だいたいどこの誰が僕の名前だけ、それも丁寧に捺印までして送ってよこしたのだろうか。万が一僕の気づかないところで僕と結婚を望んでいる女の子がいて、その子が自分の名前を書いて送って寄越したとかいうのだったら、理解できないけどまだよっぽど理にかなっているとすら僕は思った。封筒には黒い皮の判子入れも同封されていた。それは見慣れている僕が高校の卒業記念にもらった判子入れだった。
きのうははそんなゆめでした。