夢の住人

体調が優れないので病院に行くと大げさな検査が待っていた。半日がかりの検査を終えると僕は思わぬ告知を受ける。僕は男性器も女性器も持った特殊な人間でしかも本来は女性であるはずな人間だというのだ。確かめてみるとどうして今まで気がつかなかったのか確かに両方ともある。そして僕の体調が優れないのはこれまで男性として生きてきたツケが回ってきているからで、男性器を切除しなければいけないのだという。それは迷うまもなく切除された。
性別だけ女性になってしまうと、僕には自分の子孫を残せないことによる孤独感がどっと押し寄せてきた。僕は誰とも会うことなく一人部屋にこもって過ごした。私鉄の線路沿いの小さな4畳半に僕は住んでいた。しばらくすると、昔長いこと付き合ってた女の子の友達でしばらく連絡を取っていなかった女友達の何人かからメールが来るようになった。それはEメールでもCメールでもなくTメールとして来た。最近調子が悪いみたいだけどどうしてる?とメールにはあった。僕は昔付き合った女の子に真実を知られてしまうことがとても嫌だった。僕らは人生の4分の1くらいを共にしてお互いに結婚を疑わなかったのに長いことかけてすれ違い、別れることにした。でも僕は6年も付き合った男が実は女だったと知ったら彼女はきっと壊れてしまうんじゃないかと思ったのだ。
きのうはそんなゆめでした。