ゆる猫

研究室の人間が皆学会に出払って、相方と猫と共に騒音の中に取り残されると、何の議論も発見もないまま時間が過ぎていくうるさくてそしてゆるやかな生活を、元気に走り回る猫が正当化しているようで、端から見ればほとんど猫が3匹と言えなくもない状態。
こうして僕らは働きたくてどうしようもなくなるまでの時間を着々と積み重ねている。


一日大して何もしないまま僕は猫と2人で電車に乗って1時間くらい、猫が暴れないように気を遣いながら帰って、その間隣に座っているカワイイ女の子に話しかけられて名前なんて言うんですか、何歳ですか、みたいな話をしながら、これでついに電車猫男として僕もブレイクか、なんて盛り上がるようなハプニングなどどこにもなかった。
旦那連れのおばさんに猫の種類を聞かれて困ったくらいのものだった。
ときどき車内で猫が鳴くと、僕は関西弁で諭すように猫にしゃべりかけて、それは飼い主のtniがいつも関西弁で猫をしかっているのをいつもみているから多分そうして、tniは猫を飼いだしてから関西弁がよく出るようになった。
というわけで今日からしばらく猫が僕の恋人で、「男30代独身ペットと2人暮らし」というのはそのうち社会現象になると僕は思っている。