東京ハウス"カド"/阿部仁史

敷地の南側の住宅に配慮して思い切り勾配をつけた屋根はキャラが立ってて良かったが、
中に入ったらちょうどその敷地の南側に住んでる近隣の方が、
思いっきり大きくとられた北側の窓に対して文句を言っていて、
確かに敷地に高低差もあって上から見下ろすように立つ家のおかげで、
南側の窓が開けにくくなったというのは実際問題かわいそうだと思った。
これからこのタイプの住宅が建つたびに同じ問題が出てくるのではないだろうかと心配になる。


でも分かりやすいルールを使い倒して結構いろいろな空間体験がつくられているところはすごくいい。


結局この東京ハウスに参加した建築家は、そういうプロトタイプを設計できる機会をデザインソースとして楽しんだところまではとてもよくて、実際にそれを大量に流通させようというディベロッパとの関係には素敵なモノを感じ得ないけど、彼らは全くもってデザイナーとしての職を全うしたようにしか僕には見えなくて、デザインを切り売りして押しつけようとするのは時代に関係なく浅はかに見える行為なのだ。