私たちが住みたい都市/山本理顕編

徹底討論 私たちが住みたい都市 身体・プライバシー・住宅・国家 工学院大学連続シンポジウム全記録
社会学者と建築家による対談集。
山本さんが司会進行役というのが絶妙なバランス。
これを読むと結局何かできるのは
ものをつくることができる人間だというを実感する。
きっと影響の及ぶ範囲がすごく小さくなっただけで
小さな住宅ですらちゃんと都市の問題として対応していくことが
僕らにできることなのだと思う。

以下引用

心のトラブルを抱え込んだ赤ちゃんのリハビリに取り組んでいる人からよく聞くんですが、例えばそういう子供は、床を拳骨でしか四つんばいで歩けないんですね。内部を開くことが出来ない。その話を動物学者にしたときに、動物は、人間に一番近いゴリラでも、ものをさわるときには、手のひらではなく手の甲でさわるんですね。つまり警戒してさわる。ということは、人間ってすごいなと思ったのは、人間だけが自分の内部と他者の内部を合わせることが出来る。つまり、これはすごくシンプルな原理で、内外をそういう「構え」と考えて、「構え」の内側と内側を他者と接触できるということが、人間の文化の一番根源、つまりは信頼ということを成り立たせている。(鷲田清一)


例えば集合住宅という建築の形式は、まさに家族という理念を教育する教育装置だったわけです。少なくともそういう建築はもうとっくに必要なくなっている。(山本理顕)