分かりやすさの罠/仲正昌樹

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二項対立の危険性を問う。デザインスタイルの模索において極力分かりやすいことを目指すべき僕らとすれば、二項対立的に議論が起こることはよくあると思う。仮想敵などと時々呼んだりするけれども、今であれば壁が薄いこと、建築が平面的であること、開口がランダムであること、などいくつかのデザインコードに対して相対する次なる一手を考えようとする。勿論、そこからそれぞれの(壁とか平面図とか開口とかの)本質を掘り起こすところまでたどりつけなければそれをやる意味がないとは思っていて、そういう意味ではデザインは僕にとっては非常に弁証法的だ。それでも尚、表現として二項対立的な分かりやすさを持っているということの大切さ僕は感じるし、そういう状況をつくりだすことによって多くの人が煽動される事実に対しては、僕らは極めて無力だと思うから。