自転車通勤と信号の色

信号の色は赤青黄色ですというのがあたりまえに僕らの頭の中にある基本的な前提であって
それを鵜呑みにしていて赤信号の度に止まっていては自転車で20kmの道のりをとても40分で会社までたどりつけない。
と思う僕には最近信号の色は非常に多彩に見えていて、それは自分と信号の距離とか高低差によってさえも微妙にその色を変える。
たとえば自分が道路の左側にいるとき直交する道路が右折専用信号のとき、
道路の中央までは安全が確保されているから僕にとっては半分青であるわけだし
トップスピードでこいでいて交差点の両方が赤になる瞬間、僕に見える信号は真っ青だ。
これからまさに下りようとする坂の下の交差点の直交する横断歩道の信号が青であれば僕には赤だけど
それが点滅していれば、もしくは明らかに人通りがなければ僕には青だ。
都心を自転車で走れる速さというのは実はスピードによるのでなく
こうした集中力を要する瞬時の信号の色の読替えによって支えられているのだと
全力でペダルをこいだまま360度の状況を確認しながら両方赤信号の静寂の交差点に突っ込んでいく瞬間に
ふと気づく。
そしてそれはきっと中田英がパスを出す瞬間の感覚に似ていたのだと勝手に思う。