脱方程式

基本的に方程式的な設計のあり方というのが現在のモードとしてあると僕は思っていて
それは建築において不確定要素が多いからなのだろうけど
その物件固有のコンテクストやあるいはそうした不確定要素を変数として吸収して変化していくことで
有機的に見えてくるような方程式を設計のシステムとしてつくること。
少なくとも案をつくるときにそういうものを念頭において僕は手を動かしてきた。
今日二度目の森美術館の打ち合わせで自分の提示したシステムが完全に空転して
議論の土台にもままならない感じになったときに、ふと思った。
原因としてはそもそも展示と建築でそもそもの共通言語がかなり異なっていることとか
扱う古美術に対する認識が全く欠けていたこととか
そもそも展示の細かいコンセプトをちゃんと聞いていなかったこととか
いろいろあって、それはそれとして深く反省しなければいけないところだけど
ふと、なんだか自分がものすごくこうしたシステマチックな設計に
病的に依存しているような気がしてしまった。
夕飯を食いながら、この方程式呪縛から脱するには何があり得るのかという議論になり
たとえば不確定要素をそれぞれ全く異なる対処の仕方で対処したときに
それが説明のつかないものになってしまうと、それは某事務所の大きな建物のコンペ案みたいに
設計の下手な2年生みたいなものになってしまうだけで
僕はふとそれを数量で説明するというのがアリなのではないかと思った。
たとえばこの住宅は24つの異なる角度の壁と10個の異なる窓辺で出来ていますとか
70の異なる展示方法で出来ています。
とか個が全て比較可能な要素として浮き出るようなあり方があるのではないかと思った。