MOTHER3/糸井重里

MOTHER3
商売すら存在しない家族を拡張したような小さな村の社会。登場人物の誰にも名前がある小さな舞台におけるRPG。あるときそこに発達したテクノロジーを持った巨大な力が介入していくというところから話が始まる。
この中には小さな社会の暖かさが、そしてそれが失われてしまうときの寂しさがうまく描かれている。おそらくアノニマスな社会に生きる人が”ここは**の村だよ”なんて台詞を繰り返すだけのアノニマスな登場人物に仮想の世界でも会わなければいけないことに対する疑問を誠実に考えた結果なのだろう。ストーリーがシステムを押しつけるのではなく、システムから自由になることによってストーリーが成立している。そんな印象を受ける旅。