ひなた/吉田修一

ひなた
ちいさな人間関係の中でそれぞれの人物の視点からその関係が語られるというひとつの手法を使い倒すこと。そうした社会を認識する方法によって見いだされる関係性の違いを吉田修一は探ろうとしているのだと思った。この小説は家族という曖昧でものすごく強い関係の単位の中にいろいろな嘘を盛り込んで書きながらそれを揺さぶっていく行為だったのではないかと勝手に想像する。