いまここにある風景/ジェニファー・バイチウォル

crz_joe2008-07-19

産業風景を撮り続ける写真家、エドワード・バーティンスキーの産業開発が進む中国での撮影を追ったドキュメンタリー。冒頭の工場のリフレインのど迫力に圧倒される。


映画の最後にバーティンスキーが語ったことが何よりもこの映画の価値を表していたと思う。彼はときどき(産業風景の現状を目の当たりにして)政治的になるべきでないかと思うことがある、と。でもそうしてしまうことで他の見方ができなくなることを恐れているのだと言う。
映画にしてしまったことで写真の雄弁さはすっかり消えてしまった。
人間もその営みも含めて自然の一部なのだ思うと冒頭で語る彼の写真の、ときに美しくすらあるその風景に対し、環境破壊的な視点を与えてしまう写真よりも雄弁なはずの映画。


語らないことで雄弁になることもある。