エモーショナル・ドローイング@国立近代美術館

crz_joe2008-09-21

アジアの若手アーティストによるドローイングタッチの作品を集めた展覧会。
“ドローイング的”なものを集めた。と展覧会の説明に書いてあって、“的”ってなんだ!とプリプリしながら見始めると、一転すっと腑に落ちる瞬間が来る。
近代美術館のキュレーションは本当にすばらしい。


白い紙の上に何か書き始める。最初は人の手のつもりで書いたものがある瞬間違うものに見えてくることがある。そこで人の手に戻らずにその見えてきた違う何かにすっと移行して筆を進めていく感覚。これが“ドローイング的”なアプローチだと言えば分かりやすいか。

建築のジャンルでは中山英之さんのスタディなんかはまさにそれに違いない。
僕はスタディとしてでなく建築の探求の仕方として“ドローイング的”なあり方があるだろうかと考えてみた。


アトリエ・ワンの塚本さんはそれに近いと思う。
あれはガエ・ハウスの現場を担当していて、2Fの大きな窓のブラインドボックスが納まらなかったときのことだ。
水平窓の上のその垂直で巨大なたれ壁はすでに外装と同じ金属板が張られていたのだけど、塚本さんはこれはもはや隣の家の外壁と窓っぽいから出窓ってことにしちゃおうと4周枠を飛び出させてしまった。


昔の青木淳さんが言っていたオーバー・ドライブにも近いと思うのだが、(僕はあの二人の興味はすごく似ていると思う)スタディや現場の中で何か違う解釈が生まれそうになったときに、その可能性にダーッとシフトしていく感じはすごくしっくりくる。