永遠のゼロ/百田尚樹

永遠の0 (講談社文庫)

第二次大戦の海軍航空部隊に所属し、特攻で死んだ実の祖父の足跡を、生き残った元隊員たちに聞いて回るというドキュメンタリータッチで描くフィクション。

とても上手くできていて歴史物が苦手な僕でも読み出すと止まらない。
時折本当に涙が止まらなくなった。
ラストの展開は全く思いもかけず、感嘆。

最近はこうしたフィクションから歴史や遺産や科学の一端を学べるというものが増えているけど、
ここまでノンフィクションに近いと、どこからがフィクションなのかの境が少し気になった。
あるいはそれほど昔でない戦時中の現実が今とかけ離れすぎていることに、あまりに衝撃（フィクション感）があったからなのかもしれない。

と書いてみるとこれもひとつの職業病かもしれない。
建築家もいつもノンフィクションの中に織り交ぜるフィクションに
いかにそのフィクション感に人が興ざめしないように演出ができるかを考えている職業。