キース・ジャレット トリオ@文化村オーチャードホール

crz_joe2010-10-03

もうここ5年くらいずっと見たいみたいと思っていた待望の初キース・ジャレット
キースが登場してうつむき気味に鍵盤を叩き始めると
やっぱり優しいメロディのキース・ジャレットのピアノで
あたりまえなんだけどそのことに感動する。



出だしはドラムのジャック・ディジョネットがなんかまだ音に乗れてない感じがして
少し緊張するのだけど
徐々に3人が絶妙に絡み合ってきて、とてもスリリングな展開。
生だなーと思う。


最近生で聞くのが年寄りのロックばっかりで
そうするとみんなさすがに上手いのでちゃんとしっかり聞かせてくるから
こういうジャズコンサートの生らしい楽しみから遠ざかっていたことに気づく。


聞いていてそれにしてもいったい脳と指先の間にどれだけ太い神経が通っているんだろうと思う。
どれだけピアノを弾けばこういうことが起こせるようになるんだろう。


とても空間的だなと思う。
三人が時に即興に近い形で音を埋めあっていく感じに
そこに何か空間が立ち上がる気がするのだ。
予定調和がないからなのだろうか。
予定調和的でないところにこそ空間は立ち上がるのかもしれない。
よくまとまりすぎている建築を目の前にするとそんなに感動できないのは
そういうことかもしれないと思う。


アンコール2曲目にNat King ColeのAnswer Me, My Loveをキースが弾きはじめる
それがあまりに透き通ってきらきらして美しくて
僕の頭に夕日できらきらと光る湖の水面みたいな風景としてはっきりと立ち上がる。
涙が出た。
音源化しないかな。


帰り道、オスカー・ピーターソンも亡くなってモダンジャズの巨匠がどんどんいなくなってしまうのが、人類的にどんなに損失かを思う。
世界で数人だけ不老不死に出来るとしたら僕は真っ先にキース・ジャレットを推したいと思った。