裏返される都市

アメリカの連続狙撃犯の容疑者らしき2人組みがようやく捕まり、住民はこの2人がちゃんと真犯人であってく れることを祈るばかりだろう。思うにNYのテロとこの事件はそれまで信頼されていた建築や都市に対する価値観を一瞬にしてひっくり返してしまったんじゃな かろうか。それはそれまで非日常であった「死」を都市や建築の中に日常的に存在させてしまった。つまりはバトルロワイヤル状態である。そして僕があの作品 のメッセージとして受け取ったこと、それは「人を刺せば血が流れるし、痛みが伴う」という至極単純なものだった。

目に見えぬ殺戮によって一瞬にして戦場に代わってしまった都市は、遠い国で好き勝手人を殺してるのをよく知らないで喜んでいるアメリカ人に、その殺戮の痛みを訴えることができるのだろうか。