現代住宅事情2003(GA)"山本理顕+塚本由晴

今の建築家界に対する紋切り型の評価として、建築の社会的な影響力を信じている近代主義的な50代と社会的なあり方に対して無関心で作家性のない30代というあり方があって、時代は明らかに若い世代を支持している。実際そういう現状を踏まえて50代の建築家はどうなの?ってところがあったけど、この対談は先日の伊東豊雄さんの「イチロー的建築家像」に次いでその辺を明らかにしていて面白い。特に頑なにプラン操作を行う人という認識が一般的にある山本さんの、いや僕は元々柔軟でしたよみたいな感じが、時代が何を支持しているかを感じさせて切ない。。でもいいよね。建築で社会を変えられるか、あたりまえだろうって言える山本理顕。幻想にとらわれずもっと自由に建築をつくりたいという塚本由晴と、どんな建築も幻想をつくりだしてしまうし自由にできないところが建築デザインの面白さだという山本理顕。まあ実は公共建築で不特定多数の価値観の集合としての社会を相手にするか、住宅という極めて小さくて価値観の偏った社会を相手にするかの差が決定的にあると思うけど、最近の公共建築関係のコンペとか天津の再開発における塚本氏のロジックの頼りなさを見ていると、僕はこの人がこの先にどんな立場を取っていくのかに大変興味があります。そのときに果たしてひとつ上の世代に対する批判的な立場はどうなるのかなと。