こちらで降る雪のことを最近僕は気に入っていて、雪は基本的にやっぱり重力に逆らえないものだと思っていたのだけどすごく粒が細かいから重力を超越し、風を可視化する。例えば僕の住んでいる部屋は屋根裏を住めるように改築したところで部屋の壁の半分は傾斜しているけど、そんな部屋の窓から外を見ると雪は下から上に降っていくのだ。そうすると寮のボリュームが風を受けて上昇気流を生み出していることを僕は目の当たりにすることができる。重たい建築と公園に面した交差点では流れるプールの吹き出し口みたいにそこだけ横に流れる雪を風を見ることができるのだ。こういう雪だと面白いのはみんな傘をささなくて撥水性のよいダウンジャケットとかスキーウェアみたいな格好でしのいでいる。僕はラムレザーみたいなかなり雪がへばりつきやすいコートを着ていて黒のコートは家に着く頃には真白になった。