音楽一家

天気のいい金曜の午後だったので働いていたオフィスを追い出されて街をふらふらしていると、弦楽器を演奏する4人組のストリートミュージシャンにふと足を止めた。どう見ても家族の4人はお父さんがチェロ、お母さんがバイオリン、まだ明らかに10代と思われる2人の娘がビオラを弾いているのだけど、娘たちはお腹を出したりスケスケのスカートを履いたりしていて、首の所にアザがなければどう見てもその辺のドイツの女の子なのだけど、その演奏レベルの高さに通行人の誰もが足を止めていた。僕は改めてこういう古いドイツもすごくいいよなと思って、帰国の近い寂しさを切ない旋律に乗せて酔った。