みどりの月/角田光代

みどりの月 (集英社文庫)
幸せでも不幸でもないからこそが自殺に走ったり、生活費の安い東南アジアに逃げ込んで何もしないで日々を消費しているような現代の若者の心情を彼女ほどにきちんと捉えている作家はいないのではないかと思う。何かを演じているような人生の虚脱感。キャラを演じているだけのゲームをリセットするように交換可能のような人生からの逃避願望。そういった反社会的な巨大な若者像を赤裸々に描いている彼女だからこそ毎回直木賞芥川賞にノミネートされながら受賞できないのではないかと思う。