花とアリス/岩井俊二

たとえば脳科学の世界ではネズミをラジコンのように扱うことが出来て、それは左右のヒゲを触られたと感じる2種の脳細胞と快感を得られる脳細胞に電極を刺して、たとえば右のヒゲを触られたと感じたときに右に曲がると快感の脳細胞を刺激するというようなしくみで成立しているのだけど、もうそうすると意志とか自分とかそういったものはどうなってしまうか分からなくて、こう書いている僕らでさえ誰か巨大な力から脳に電気信号を送られて操作されているのかもしれないとすら思うのをこの映画を見て感じて、好きな男の子に記憶喪失だと信じ込ませて昔付き合っていたことにする鈴木杏に、僕は感心してしまったり、ただただ若くて人を好きになることに無鉄砲だったあの頃の感覚を見事に描いている岩井俊二に感嘆する僕がいたり。