斜めから見る―大衆文化を通してラカン理論へ/スラヴォイ ジジェク

ISBN:4791753755
「斜めから見る」というのは平たく言えばひとつのものを異なった視点から見ること、それによってある事象が別のつじつまを持った角度を探して見るということなんだろうけど、日々膨大なスタディを無駄にしながら、建築を探求する者にとってそれがどんなに大事なことかを思い知る。
たとえば今やっているプロジェクトは割と制限が多い方だと思うのだけど、そうした制限制約を如何に斜めから見てデザインソースにすることが出来るかはデザイナーとして、特にもの凄く大きなものをデザインしながら他人の経済力を利用してときにもの凄く不自由を強いられる建築家にとっては本当に必要な資質だと思う。
そしてそう思うのは僕がそのことに関しては間違いなく右に出る者のない天才から学んだからだ。
とにかくこの本にはラカンの<対象a><現実界>といったはっきり言って理解不能だった概念が分かりやすい実例を伴って非常に分かりやすく描かれている。ものごとの象徴性を読み取る能力を高めるのには非常に有益な本だ。