実施アップ間近で、突き詰めたところをボスに逐一確認をとる作業が続く。
何を隠そううちの事務所で一番細かい収まりを書けるのはボスであって
嘘みたいな話だが、所員がボスにディテールを書かせるということがよくある。
もっともそういう突き詰めたところから手作り感覚でものづくりを考える姿勢というのは
ものすごく共感ができる部分であって、それはt元師も通じたことだ。
思うに建築家の癖とは突き詰めるところと、トップダウン式に惰性で決めていくところとの
バランスによって語られるべきものじゃないかと僕は思って
たとえばt元師は決めたことを突き詰めていく作業によってくつがえされたり再定義されるのを楽しむ人だったし
現ボスは突き詰める作業を土台として鮮やかなトップダウンが成立することこそに喜びを感じているように見える。
打ち合わせの中で僕がどうでもいいと思うこととボスがそう思うところとの差を確認しながら
それがどういう表現の差につながっていくのかをなるべく想像しながら
日々を過ごしていて、それこそがこの場所で一番学べるところなのだと信じている。