凸凹デイズ/山本幸久

凸凹デイズ
弱小デザイン事務所を舞台にした青春小説。
鼻につくところも胸を激しく揺さぶられるところもないが、相変わらず爽快に読めるし、終盤なんかちょっと涙すら出そうになる。


でも読んでいて思った。最近みんなで何かをつくる楽しさを忘れている気がすると。
最近は大きいのに一人で担当する物件が多くて、しかも施主の顔は常によく見えていない感じなので、つくることの楽しさを人と共有できていない。小説には終盤に発足したてのデザイン事務所の3人がひとつの広告を仕上げる瞬間的な熱動みたいなのが絶妙に描かれている。(ちょっと時代を感じさせるコピーが笑えるんだけど。)
そういうのが僕らの仕事を支えているはずなんだけど、最近少なくともここ1ヶ月くらい、ない。


うちの事務所の仕事の回し方ってきっと長男的なんだよな。
自分が全部ひとりで責任負いますみたいなところがある。
もちろんそれはそれで大事なことだと思うけど、もう少し周りの人を巻き込む次男的なやり方の方がいいものをつくる上では、そして問題が起こったときに曖昧に済ます意味ではいいのじゃないかと最近思う。