柿の木坂の住宅/O.F.D.A.(伊藤博之)

住宅地の交差点に建つ。3つのボリュームを交互にズラしてボリュームとしては多様な外部と内部の関係をつくり出している。ただ、外側にはほとんど完全に閉じていて、せっかくの多様なはずの内と外の関係が単なるコートハウスになってしまっていて、そのとき僕が咄嗟に思ったのは、これは建築家による住宅とは言えないということだった。
たとえばバラガン自邸のような落ち着ける空間をつくることに対して、この東京の現代的な状況においてはいい建築の作り方だとは全く思わなくなっている自分にをみる限り、住宅を開いていくことが数少ない建築家が都市に対してなしえる手法になってしまっているのだと気づく。