新築のコンバージョン

1年以上やっている診療所+医師住宅の設計は自由度が全く皆無な状態にあって、今やこれは診療所じゃなくて複合施設だと考えた方が可能性が広がるんじゃないかと考えるようになった。
これによって僕の中で「建築」の意味がどんどん「ストラクチャー」に近くなってきている。ここで「ストラクチャー」と呼ぶのは多分単なる構造体のことではなくてメタ空間をもった構造体のことを指している。
病院というのは建築計画学がもっとも発展した分野のひとつであるけれど診察部分も病棟部分も住宅の部分も細長く重なっているが故に同じ「ストラクチャー」をもっていなければいけなくて、3層の中身は結構違う。
その違いをうまく差異として反映できるメタ空間としてつくろうとすると限りなくそれは構造体に近づく。それに3つの違うプログラムを塗り込める作業ってのは新築なのにコンバージョンしているみたいな感覚で、これはひとつ社会が要請する新しい建築感なんじゃないかと漠然と思う。