カーニヴァル化する社会/鈴木謙介

カーニヴァル化する社会 (講談社現代新書)


著者が宮台研出身。
根元的な理由や目標を欠いた自己目的的(2ch祭的)、「カーニヴァル」が現代の社会を席巻していることを指摘する。
それがデータベースへの問い合わせにあるというこの本の主となる指摘が、
僕には何とも分かりにくかったので面白い話にならないのだけど
サッカー日本代表を応援する裏にナショナリズムがあるという議論は馬鹿げているといったように、
一見するとありそうな物事の本質はそこにはなくて、
カーニヴァル」とか「祝祭性」といった言葉によって表現されうるような
「ハイテンションな自己啓発」こそが社会を支えているという指摘にはものすごく共感できる。
そしてこれを積極的に肯定するという意味でなくて、
こうした事態が引き起こす「ネタ消費」的な価値観が社会に広がっているとすれば、
そのまんま東プリティ長嶋が選挙に出るのは、今の社会をうまく利用したということなんだと思う。
一発ネタ芸人や若手建築家たちはこの状況をタフに楽しんでいるとも言えるけれど、
この状況下でできる他のうまいやり方を探す必要がきっとあるだろうな。