インテリア世代の建築

構造とか構成とか僕が建築の本質的なるものだと信じていた部分が徹底的にない建築を見て、非常に不思議な感覚に襲われる。
そこに仮に新しい建築の価値観があるのだと仮定すると、都市が建築で埋め尽くされて、それを改築、改修していく作業から建築の設計をスタートしたポストモダン世代にとっては、空間の構成よりも確かに壁や床の素材に起点があってもおかしくはないと思う。
そういうインテリアからものが形作られる感覚を最大限に開いて建物を見直すと、鳥小屋がポコポコとついたようなボリュームも、それを構成として見せたかったというよりは、内側からインテリアの壁を押し出して成型されたように見えてくると、この建物からは一切の骨組みが消え失せ、内側から拡散していくエネルギーのみが集まってできているものすごく完成度の高い、インテリアナイズドされた建築だと捉えることができるのではないかと思った。