インドが3 アーグラー




朝の6時過ぎにタージ・マハルに出向くも金曜は休みで、仕方なく河原に出る。割ときれいな芝生の上、ふとみると歯並びのきれいな人間のしゃれこうべが落ちていて血の気が引いた。。
川渡しのおじさんがちょうど見つかって日の出の光にオレンジに染まっていくタージを眺める。


対岸まで追いかけてきたサイクルリクシャーのおじさんに捕まって交渉をまとめ10km以上あるスィカンドラーまでチャリで行ってもらうことにする。チャトリという小さなドーム状の庇がたくさん乗っかったアクバル廟も半端ない大きさでかっこいい。敷地内の庭園は猿やヤクたちの憩いの場にもなっていて、ある層の人間よりもよっぽどいい暮らしをしているように思う。
帰り道おじいさんのワーラーが小さな男の子を乗せて一生懸命自転車を漕いでいるのを見る。きっとそこにはどうしようもない階級差があるのだろうと僕は思った。
つづいて訪れたアーグラー城はタージ・マハルを遠景に楽しめる開放的な感じがいい。広々とした中庭形式の建物はどこまでも屋外のようだ。


街へ戻って路地を入ると、格差が全然違う風景を生んでいて、子ども達の元気な姿がとても印象的。カメラを持っているだけでとにかく撮って撮ってと集まってくる。生きるのに稼ぐのに必死でがめつい大人達と比べて、無垢な子ども達の笑顔は底抜けに明るい。そこら中に野放しにされている牛や犬や猿や山羊たちとなんら変わりがないように見える。生きることの美しさをただそこに見る気がした。1年中暑いからいつでも外ですごせる環境も人間をそう見せているのかもしれない。細い路地の両側はどこも1階が店になっていて、道に少しでも広さがあれば誰彼そこかしこにものが売られている。上から与えられていない公共という概念を僕はそこに見る気がした。