インドが4 バラナシ

朝6時にドアをノックされて目が覚める。ガートに導かれてボートに乗ると、朝早くから沐浴する人、洗濯をする人が結構多い。


少しボートが進むとガートの対岸から太陽が昇り始める。オレンジに染まる街を見ていると建物は意外とガンガーに対して正対しているわけではなくて、結構自由気ままな向きをしている。
そういうズレを許容する感じ。この国には全体的にいろいろなことを許容しているという雰囲気が強いと僕は思った。


朝飯を食べて街をふらふらし、途中トラベルカンパニーに寄ってはネパール行きのバスを調べたり、貸本屋で持ってきた文庫本と日本人が置いていった本と交換をしたり、腰巻布のルーンギーやシルクの布を買ったりしながら人々とのコミュニケーションを楽しむ。
多少お金は落ちていくがトータルでも300円とかそんなものだ。
明日にはネパールに行きたかったがバスは明後日までなかった。
昼飯は地元の有名店で食べる。インド人と外国人で値段の違う別々のメニューが置いてあるところがインドらしい。この国では同じものをお金のある人は高い金を出して買うし、ない人は安い金で買う。


引く手数多なドラッグの売人を払いのけ、宿に戻って目の前のガンガーを眺めながらのんびりと本を読んだ。
気がつくと街を歩くスピードもだいぶゆっくりになって、着るものもインド人らしくなって、バスを待つのに1日ここですごそうと決めた瞬間にいろいろなことが少しゆるくなるのを感じる。
東京ではなんでも自分の思い通りにできるけど、電車が時間通りに来ないとかバスがないとかどうしようもない状態に身を任せると、少しだけインドの時間の流れ方に埋もれていく気がしてそれが心地よい。


夕方ガートに出て、ガンガーに祈りを捧げる儀式、プージーを見る。アコーディオンのような鍵盤楽器ジャンベのような打楽器で音楽をかなでているのだが、リズムなどあってないようなもの。決まって構成があってそれを意識して外す、というのではなく最初から適度にズレがある。そしてそれはこの国の空気にすごく合っていると僕は思った。