ネパー3 カトマンドゥ

自転車に乗ってチベット仏教最大の寺院、ボダナートへ向かう。入るなり入り口でチベット難民が集まって何やら祈りを捧げていた。壁にはCHINA STOP KILLINGと書かれた紙。この時僕はこの日ラサで100人もの人間が殺されたことを知る由もなかったが、彼らの自由を求める声に多くの世界が耳を傾けて欲しいと率直に思った。


ボダナートは巨大なストゥーパを囲うように建物が建っているのが面白くて、日本の神社の扱いと違って建物がみな内側を向いているからそこにまとまりを見いだせて楽しい。実際にチベット人の学校やチベットの土産店が集まって、1度聞くとなかなか耳に残るチベットの音楽が鳴っている。


再び自転車に乗り一気に南へ向かう。途中国立競技場の近くで男ばかりが1km以上の列をつくっていて、一体何に並んでいるのか分からないが、僕は暑い中そんなに並べる精神構造について理解が出来ない。
カトマンドゥから10kmくらいのところにあるパタンも古い街で、広場は立ち並ぶ塔の風景が圧巻で赤い。
僕は広場を見下ろせるレストランに入ってその様子をうっとりと眺めていた。平安時代の京都にでも迷い込んだような錯覚にふと陥る。

似ているようで一番違うのは基壇の扱いだと思う。ネパールの重塔には何段も重なった大きな基壇があって大概みなそこに座ってボーっと回りを眺めている。この基壇が中に入れない塔を単なるオブジェクトではなく空間にしているところがよい。


ぐるぐると街を歩き回ると交差点のコーナーのあちこちに縁側状の空間がある。土曜のせいであまり出店が少ないのかもしれなかったが、そこでまったりとくつろいだりトランプに興じるおじいちゃん集団がいて、こういう公共のありかたはすごくいい。ディベロッパーは大規模開発をするんじゃなくてこういう角地に建つ建物を少しずつ作り替えていけばいいのにと思う。もしくは遺産相続に伴う角地は政府が買収して少なくとも足元は公共の場として提供するように作り替えていけばいいのになどと思う。