LIVE ROUND ABOUT JOURNAL 2009@INAXギャラリー

出社前にいろいろな人への挨拶回りを兼ねて少しだけ立ち寄る。
前半はほとんどインテリアの話ばかりだったが、どの人も丁寧に考えているので楽しい。
ただ話を聞いていて以前ほど共感を感じ得なくなっている自分に気がつく。


こうした議論が他人への共感によって支えられているとして
建築家業界には同業への共感というものを無視できないところが何故かある。
それが時にユーザーや社会への共感よりも重要視される。
分かりやすく言えば大衆に媚びた売れ線に走ると非難されるインディーズバンドみたいなものだ。


僕が共感を抱けなくなってしまったというのはつまり
僕が今の事務所でやらせてもらっている仕事の仕方が、
明らかに社会やユーザーに対する共感の方へ大きくシフトしてしまったためなのだと思う。
少しまずいかなとハッとさせられた。


途中から入って3組くらいしか聞かなかったから全然分からなかったけど、藤村さんが企画したこのイベントの趣旨というのは、ユーザーや社会への共感(手の内側)を建築家業界にも共感してもらうというものだったのだと思う。
インディーズっぽいイベントであることをよく自覚した上での巧みな戦略だと思う。


そういう意味ではmosakiみたいな編集デザイナーの話というのはダイレクトに社会につながるための方法への共感になっていて面白かった。


そもそも建築家業界が閉じてしまっているように見えるのは、建築メディアと設計のあり方に不具合があるからなのかもしれない。
建築というのは何年もかかってできたとしても、必ずできた後にしかそれをメディアに載せられない。
でももし、その建築の日々の育ち具合を頻繁に大衆に訴えるメディアが在れば、建築と社会の関係は抜本的に変えられるんじゃないだろうか。
雑誌が次々に休刊しネットラジオやブログといった小さなメディアが活躍し始める時代である。
それこそがいつも後出しで経過を見せてくれる藤村さんとかがやるべきことなのではないかとふと思う。