駒沢のテラスハウス/千葉学建築計画事務所


写真:隣地駐車場からの全景

僕が前の事務所で基本設計を担当したスケルトン/インフィル方式による12戸のコーポラティブ長屋住宅。
いくつかの仕事の合間に1ヶ月くらいで形にした気がする。


設計されたのは建築空間のデザインというよりは、ディベロッパーや個別の施主と円滑なやり取りを促すシステムだったと記憶している。
中央にうねうねとした大黒柱ならぬ大黒壁が立ち、これが建物全体の構造として働き、水周りなどの間仕切り壁として機能している。


写真:大黒壁の間から外を見る


こうすることによりファサード部分に面する住戸間の界壁は構造から自由に動かすことができるので、設計の次の段階ではこの壁を動かしたり床をくりぬいたりして、ディベロッパーの要求する多様性や面積調整に対応した。

写真:吹き抜けのリビングを見下ろす風呂



インフィルの設計を他の事務所に任せたことも成功して
1Fの西側の住戸への入り口の扉が12枚並ぶ風景からすると
とても想像できない多様性がそこにはあって
シンプルな構成ながら並んだ扉を開けると全然違う場所にシャッフルされてしまうような感覚。
次の扉を開けるのが楽しい。

写真:右側がアプローチ動線



この建築がこの場所に誕生するまでの社会的なシステム(スケルトン/インフィルコーポラティブ形式長屋)と建築のシステムが本当にうまくいった建物だと思った。

写真:3Fの角から周囲を見る



これが竣工にいたるにはものすごい苦労があったと思う。
おつかれさまでした