時間のデザイン

crz_joe2009-04-27

最近ずっと関わっていたのが工場の跡地をノコギリ屋根の工場の建物とかを残して改築しながら、部分的に壊して新築を挿入するみたいな楽しいプロジェクトで
僕はそこで新しい建築の挿入がいかに古い建築を壊したかが
ちゃんと図式として現れるような新旧の共存を延々と模索していた。


それはたとえば新しいものと古いものが全く同じルールでつくられるみたいな
古いものの伝承としてできるみたいなものではなくて
新しいもの挿入したことで古いものが圧力を受けて壊れたように見えるデザインのことだ。


そうすることでそこには順序だてられた時間の流れが都市に対して可視化されるのではないかと思っていたのだ。


そのときふと気づいたのが自分の書いた修士論文のことで
あのときは建築の表層に立ち表れている動きをテーマに論文を書いたけど
今の興味もあのときの興味も全く同じだと気づいた。
http://ci.nii.ac.jp/naid/110006329498
http://ci.nii.ac.jp/naid/110006329499


このときは整然としたファサードをスタートとして
それを参照してつくられる「動き」のつくられ方に
つまり純粋なデザインの方法論に興味があったけど
それは社会の近代化がつくったひとつのどこにでもある時代のデザインに対して
「動き」を加えることでそこに時間的表現を立ち表わせるということでもあったのだ。


建築に「動き」を重ねるというデザインの行為は
建築がおかれる都市に躍動感を与えるということだけでなくて
長い時間がつくりあげてきた慣習的なデザインの上に
我々は時間を重ねているのだという時間の表現でもあるのだ。