終末のフール / 伊坂幸太郎

終末のフール (集英社文庫)
7年後に世界が終わりますと宣告された社会の人々の生き様を描く短編集。
一度世界は大荒れに荒れて社会構造はほとんど破綻して
その後に訪れた静かな時間に生きる人たちを描いている。

「あのな。恐る恐る人生の山を登ってきて、つらいし怖いし、疲れたから、もと来た道をそろそろ帰ろうかな、なんてことは無理なんだよ」
「登るしかねえだろうが」
「登る意味があるとは思えないんだって」
「何様なんだよ、おまえは。俺は、登ったらどうですか、なんてことを言ってるんじゃねえんだよ。登れる限り登れって命令してるんだ。」


この親父の言っていることは今ならよく分かる。
最近僕の中にある「生きる」イメージは山に例えるとこんなに近い。
ただ最近思うのは僕は決して山頂を目指して登っている訳じゃないということ。
とにかく登り続けていたいから登ってる。
気づいたら相当高いところにいるかもしれなくても、そんなことは構わずに登っていたい。
という気がする。