海炭市叙景/ 熊切和嘉

crz_joe2011-02-05


5度の芥川賞候補になりながら、受賞にいたらず90年に自ら命を絶った不遇の小説家・佐藤泰志の原作を映画化した短編集的な映画。函館が舞台なのは変わらないが、時代背景は現代になっている。
地方都市の日常のリアルを描く。少しずつうまく行かない生活、抜け出せない閉塞感がリアルに描かれる。
リアルすぎてSFの世界のようにすら思えてしまう。ああ格差社会だと思った。それも経済的なレベルの話でない格差。心の豊かさの格差。
正直こういう生き方をしていると回りは生きる楽しさにあふれた人ばかりだし、そういう世界があること(というかむしろこっちが大部分だということ)に全然想像が行っていないことにハッとさせられる。


最近twitterをはじめて、知識人たちがテレビを消してtwitterを見よとつぶやくのを見るたびに、心がざわざわする。みんなが格差を諦め始めている。だけど本当にそれでいいのか。みんなどういう世界が格差の下に広がっているか想像できているのか。ぜひ、見て感じて欲しい。
エンドロールにたくさんの名前が流れるのを見て、映画に関わった人がみんな幸せであってほしいと思う。そんな映画。