続:建築家になにができるか

早朝、小湊の漁港から海に出て行く漁船を見ながら、僕らは灯台にならないといかんのだと思った。すいません。建築家にはすぐに皆さんの元気になるような気 の利いたことはできません。でも、今別の場所での生活を余儀なくされている皆さんがまた帰って来たいと思うような光は示せるかもしれない。
僕の親戚を含めてきっと津波にのまれて海から帰ってくることができなかったかわいそうな人たちもたくさんいるのだろう。そういう人たちのためにも灯火となれるような新しい街のあり方について考えるのが、それだけがきっと建築家にしかできない仕事なんだろうと思う。
もちろん、なくなってしまった土地の所有の問題とか、考えはじめたら思考停止になってしまうようなこともたくさんあるけど、それを超越して区画整理する役所さえ動かせるような明るい未来を描くことだけが、僕らの仕事なんじゃないかってそんな気がする。