大川

先週出張で行った家具の街、大川市はなかなか面白かった。てっきり大きな工場がどーんとあってそこでたくさんの人が流れ作業でものをつくってる姿を想像していたのだが、全く違った。大川市では市内にたくさんの小さな工場が集まっている。従業員は五人くらい。それぞれが面材製作ならどこ、テーパー加工ならどこが得意みたいなキャラがあって、街に詳しい人がその中で仕事を振り分けて、商品はその間を移動して出来上がっていく。
今でも発展途上国には多く見られる風景だけど、同業者が集まってギルドをつくり、競争しないで補完し合う近代以前のシステム。たとえば秋葉原も元々はそのようにして電気街を成していたけど、近代以降の競争主義がそれに優って、今や秋葉原からは電気街が姿を消し、秋葉原だけでなく、渋谷にも新宿にも池袋にもヤマダ電機ヨドバシカメラがあるという風景になってしまった。今でも家具なら天童とか大川とか、アルミサッシなら富山とか、そういったギルド的な街の名残りを残しているところは結構あって、仮に社会が下山して競争をやめて資本主義を諦めるときには、そういう風景がもう一度意味を持って見出されてくるはずだ。