東工大卒業製作優秀作品講評

都立大もひどかったけどそれにも増して非常に低レベルな争いだったように思うのは、ちゃんと建築として考えられているものが殆どなかったからだ。卒業製作 /設計ってあなたが何故にそこに建築をそのようにつくるのかを説明する行為だと認識しているんだけど、それがなされているものは皆無であった。そして僕はデザインを決定する責任行為を全ての根拠から逃がしてよく分からない建築の使用者に押し付け(彼はメイントピックなはずのその方法について何も論じなかった)、汚い模型を前にのらりくらりと言い逃れを続けるその彼の作品にひどく腹を立てていたし、それを金賞に選出した教授陣にも辟易していた。


ただうちの先生に言わせるところあれは人物票だというので、その点は妙に納得したんだけど。


ひとつ笑ったのは優秀者5人が決まったときにうちの先生が今年は金賞なしということもありなんですか?と発言したときに、普段の穏やかな物腰からは考えられない敏捷な反応で建築学会長の仙田マンがいやちゃんと2人にあげましょうみたいなことを言って、その時噂には聞いていた政治力というものが実際に存在することとそれが可視化されてたったいま目の前に披露されたことで、大人ってたいへーんとか馬鹿みたいに思った。


さらに今日はうちの先生が珍しく暇で、コーヒーを飲みながら雑談をしているといつのまにかゼミみたいになって修論のテーマの話が出て、しかも僕の場合何をやるかだいたい決まってしまったようなところがあってちょっと参った。まあいいか。1年間の暇にならずに済むし。