玩具修理者/小林泰三

玩具修理者 (角川ホラー文庫) [ 小林 泰三 ]

最近黒い本にはまっている。
黒い本というのは文庫本の書棚で一際異彩を放つ角川ホラーの本のことで、背表紙を見ただけでジャンルが分かる優れものである。
瀬名秀明貴志祐介などが受賞したり、作品が頻繁に映像化されたことでその後も何かと成功を収めている新設賞(今年第10回)といえる日本ホラー小説大賞の第2回短編賞受賞作。ちょっと稚拙な感じがしなくもないが、50ページの受賞作といい、それと一緒に文庫本に納められている150ページのもうひとつの短編「酔歩する男」といい、どちらも恐怖を駆り立てる枠組みがシンプルで面白い。


それはあたりまえ過ぎて疑ったことのない定理を破壊するみたいなことなんだけど、
例えば「玩具修理者」では生物と無生物のボーダーを破壊し、
「酔歩する男」では今日の次に明日が来るという時間概念を破壊している。
そしてそれがホラーになっていること(その点ではやはり前者のが優れているのだが)、
いいホラー小説だとかじゃなくてこれはいいデザインだと思った。


ところでこれ田中麗奈(一応断っておくと「モー娘。に新しく入ってない方の」)主演で映像化されているらしい。見たい!田中麗奈の目が最後にキーっとなるはずなんだけど。