MVRDV+SOS vs 手塚建築

恐らく多くの学生/建築関係者がこの日2つの建物を同時に見ていて、結果必然的に同じ土俵に上げられて相対的に評価されているだろうと思われるのであえて↑と書いてみた。


どっちを先に見たとかどっちのときのが天気がよかったとか人によって条件が違うだろうしそれによってまた評価も異なってくるだろうからあえて断っておくけど、僕の場合先に手塚さんの方(以下キョロロ)を、後にMV(以下松代)を見て圧倒的に松代の方がよかったと思ってしまった。
2つの作品にはどちらにもアートトリエンナーレの関係によるアート作品が関わっているのだが、結果的にアートと建築の関係が僕の中で大きな評価基準になってしまったように思う。例えば松代のほうは通路部分がグレー1色に塗られていて、その通路によって分節された部屋が展示室なのだがこれまた全てそれぞれのスペースごとに1色に塗りこめられている。黄緑色のブースで受付をしていた吉村(兄)さんに聞いたところこれは建築のほうであらかじめ1色に塗るというコードを用意した上で、アーティストやアートフロントと協議して色を決めたらしく、「見る建築」などの外観写真で見たカラフルなガラスも実は全て透明で、単純に空間の色がそのまま外観になっていたのでした。もうとにかくシンプルで展示室以外にもあらゆる空間が1色になっている。しかも照明とか太陽光とか通路のグレーとのコントラストとかで同じ色が違って見えたりして発見が多い。


トイレはオレンジ色なのだが入って用を足していざ出ようとすると、目の前には個室用の金具がついたドアが3つ並んでいるだけでどこから入ってきたか分からないようになるトリックになっていて、すっかり騙されたーと話していたらその横で吉村さんが「してやったり」って顔してた。アートと建築の境界を横断する遊び心満載の建築。肩の力が抜けている。
その点キョロロの方は建築然としていて、塔の中に仕組まれたアート作品が分かりにくい上に暗くてのぼりにくいという建築の不自由さになってしまっていて痛い。建物もコンペの模型とかを見るよりかなり巨大な印象でコルテン鋼もあれだけ巨大な壁面を覆うとなると少し重たい。アクリルについても同様。リニアなボリュームも結構分かりやすく分節されてしまっていて特に塔なんか外観ではチューブが折れて立ち上がってるように見えるけど実際に内部空間は完全に別ものだったり。去年10月頃に担当の富川さんに現場を案内して頂いて見てしまったためにインパクトがなかったというのはあるかもしれないが、どうしても相対的に見てしまって、そうするとどうしてもよいと思えなくなってしまった。