アフターダーク/村上春樹

アフターダーク
僕は去年のクリスマスイブに見た素敵な寝顔の女の子を思い出した。そのコはたまたまのタイミングでミュンヘンに寄っただけだったのだけれど、皆実家に帰ってしまって日本人の男だけという実に寂しいクリスマスパーティーでそのコの寝顔だけが僕らを幸せにしてくれたのだった。
ところでラーメンズ小林賢太郎はその第11回公演「小説家という存在」の中でこう言っている。「誰にでも一生に一本だけなら面白い物語がつくれるものです。」
この命題の裏はつまり、大駄作。