予定不調和の論理

crz_joe2005-03-26

何にでも全体と部分があって建築を設計するときにもそれは同じなのだが、全体の中に部分がある場合と部分の集合として全体がある場合では見え方が全く異なっている。マットビルディングという名論文によると年代的傾向は後者から前者に移っていて、SANAA21世紀美術館ヨコミゾマコトの新富弘美術館がその代表的な例と言える。
これに対してアトリエ・ワンにはまず全体を作り出すという力がない。しかし逆にどんなものに対しても秀逸な部分をつくりだすことには非常に長けている。だから住宅作品のような小さなものであればそういった部分は非常に良く全体としてまとまるので彼らの住宅作品はどれを見ても面白いのだが公共施設のように大きなものになると途端にまとまらなくなって、それがアトリエ・ワンがこれまで大きな施設のコンペに勝てていないひとつの要因になっているように思う。そもそも建築は規模が大きいほど分かりやすい全体を求めるものでもある。
今やっている高円寺のコンペもまさに部分の集合になっていて、全体性というものが極めて弱い。塚本さんは特にまとまった全体を作り出したいがために部分に変更を強制する予定調和的なやり方を嫌う。ともなればこのチームでは極めて予定不調和的な建築を追求するというのが最良の道ではないかというのがここ2週間の葛藤の中で僕が思ったこと。
構成が明快で分かりやすいけどそれ以上の奥行きがないようなものになるよりは、全体としてなにかごちゃごちゃしたまとまりだけどよくよく見ていくと楽しそうな空間がいっぱいあるというようなものになればよくて、今回のコンペのような無記名でない10社競合の中でなら、活路を見いだせるのではないかと苦戦続きのやりとりの中で信じている。



ここ最近つくばスタイル+コンペで飛んでくる人がおおいけど僕らは落ちましたから。残念。
1等は半築の案で個人で事務所をやっている人で石上純也さんが2等に入ったそうで、その他にも宇都宮大の人が2等だそうですね。おめでとう。パチパチ。