パラレル/長嶋有

パラレル
最近こんなんばっかり読んでいるけど、この作家にはクリエイティビティがあって、なおかつ日常や心情を誠実に言葉にしていて非常に好感が持てると僕は思った。
作品の中の結婚式のスピーチの一説に「文化」という言葉が出てくる。


「夫婦のようになったと感じるとき、その2人の間には確かに文化が芽生えているのです。食卓でそれとって、といっただけで「それ」がソースか醤油か分かる。(中略)お二人は夫婦という文化に守られるのではなく、結婚によって自分たちを守る文化を築いていってください。」


都市と建築の問題に置き換えても通じる話だと僕は思った。
「文化」ってかなり広義な意味を持つけどt元師が昔言っていた「メンタル」とも「社会性」とも似ている。
それは時間の繋留のみがつくりだしていく概念で、建築をつくって時間をそこに繋ぎ留めておくことによって生まれてくる。