コミュニティを問いなおす-つながり・都市・日本社会の未来/広井良典

社会学だけでなく福祉学、経済学から都市計画学や哲学などさまざまな観点からコミュニティを考える。多少冗長的だけど思考がとても論理的なのでとても面白く読める。


ざっくりまとめると
そもそも日本の社会は農村型の内向きのコミュニティをもっており
それが高度経済成長によって生活と仕事の場が離れたことで
会社や核家族といった小さな単位に集約されていったが
資本主義が飽和状態に陥って
今までのように資本がフローする社会でなく
ストックされていくことが予想される定常化した社会の中
コミュニティのあるべき場所は失われつつある中で、
あるいは社会が高齢化して生活の場が再度地域に固定されるようになっていく中で、
ソフト面でもハード面でもコミュニティの必要性(公共の共の部分)が高まってくるだろうと述べている。


ハード面では福祉が地域に根付いていくために、
大学などの都市空間や建築に積極的に結びついて
その地域の固有性を獲得していくことで
持続可能な福祉都市を目指す必要があるとしている。


ソフト面では資本主義と社会主義環境主義の間で生まれる、
非貨幣的な価値の重要性の高まりの中で
普遍性をもった思想的なものが立ち現れて
その中にコミュニティが再発見されていくだろうとしている。



本の冒頭に都市型コミュニティと農村型コミュニティという考え方が出てくる。
前者は周囲に対して橋渡しとなっていく公共性をベースとし
後者は一体意識を強める共同性をベースとしていると定義できる。


僕個人は非常に都市型コミュニティ寄りなタイプ。
以前開いているようで閉じている人が苦手と書いたけど
まさにそういうことだったと読んでいて思って
誕生日を例に分かりやすく言うなら
僕は自分の誕生パーティーをやるから友達を誘って来てくれという方が好きで
万が一仲の良い友達にサプライズパーティーでもされようものなら
気持ち悪くて鳥肌がたっちゃうタイプ。。。


ヨーロッパにいたときの妙な居心地のよさは
きっとそういうところにあって
たとえば街中で知らない人でも目が合えば誰しも微笑むみたいなことも含めて
なにかそういう普遍的な価値観が「私」より「共」に価値観が傾いていく中で
著者が描いているように変わっていくといいなと少し思う。


日本では合理的に正しいということも
まず村の偉い人たちにお伺いを立てて根回しして
やっと発言できるみたいなムラ社会的な手順があって
正直生きにくいと思わないか。