日本の大転換/中沢新一

日本の大転換 (集英社新書)

日本の大転換 (集英社新書)

最近八百屋がたまらなく好きな僕だが、中沢新一さんの本読んでたらその理由が分かった。


世の中には基本的に等価交換と贈与があって、グローバル資本主義や二十世紀的建築というのは等価交換を前提にできあがってきた。一方で生体圏は太陽エネルギーの贈与によって成り立っている。


3.11によって等価交換による社会が贈与による生体圏と相容れないことが露呈してしまった。だから自然の贈与をベースとした社会への転換が今後必要なのだというのが趣旨。


とはいえ、そう簡単に等価交換から脱するのは難しいことは皆わかっている。仮に八百屋に行ったとしても、もちろん僕は紙幣という抽象化されたものと交換して野菜を買う。しかし、太陽の贈与からの距離が、体感としてとても近いのだ。


だから等価交換=資本主義経済はなくならなくても、贈与との距離を縮める方向に社会は変わっていくと思う。たとえばご飯を食べるのに、よくわからない場所代や人件費を搾取されるのではなく、自分で野菜を買って調理してという生活にシフトしていくと思う。


最近建築界でもセルフビルドが増えてきているけど、これも同じロジックで見れる。ひとつの素材を現場に入れるのに商社がいて下請けの施工業者がいて工務店 がいてその間に不透明な手数料がかかっていることに対する不信感。そしてITというのは生産者と現場をダイレクトに結びつけやすいツール。


このこれからは等価交換から贈与に基づく社会へ近づくというロジックだと、いわゆる商社がまず滅びる。
人件費に対する等価交換を贈与に変えることでコミュニティを生み出すような社会構造というのはありえるかもしれない。レストランではなく食材店にダイニングキッチンが併設されているみたいなプログラムはあるんじゃないかと思う。


週に一度会社で社員全員でBBQをやる浜松の建設会社というのが最近注目されているらしいけど、これは既にシフトし始めているということだと思う。 http://t.co/vmmYq7p0